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聞く力・話す力【瀬上一憲】
2023.02/21
水曜日です。
おはようございます。
青森のせのうえかずのりこと「あおのりです。」
最近はまっているのがユーチューブで志ん朝落語を聴く(見る)こと。
これが時間が経つのも
忘れるほど聞き入ってしまうぐらい面白い。
数年前に落語ブームがありました。
その時は全く興味も沸かなかったのですが、
他人から数年遅れてマイブームが到来するのが
常の私にとってはそう珍しいことではありません。
寄席でしか聴くことのできなかった
落語をお茶の間に持ち込んだのは、ラジオであり、
テレビと言ったメディアだったのでしょう。
そして、名人と言われるその人達の
一席を繰り返し聞くことができるとして、
レコードやカセットテープ、CD等で大全集が売られていたわけで。
そういう全集を取り揃えた噺家好きというのは、
なんだか偉く見えたものでした。
それが今では、「違法」なのだろうけれど、
故人の名人芸が手軽に、しかもタダで視聴できるとあっては、
そういうソフトが全く売れなくなるというのも道理かと。
整体の仕事を始める時、
患者さんとのコミュニケーションを取るには、
「話す力」だと思いつき、当時銀座の山野楽器で
志ん生のCDを2枚買ったことを思い出しました。
どうせ叩き込むなら、
キングオブキング「志ん生落語」だとばかり、
買ったは良かったのですが、これが晩年の志ん生とあって、
何を言っているかわからないモゴモゴ状態だし、
録音状態も悪く、さっぱり頭に入ってこないので、
「CD棚の肥やし」と化して今に至っています。
それはさておき、名人芸と言われる噺の数々。
何かをし「ながら」聞くにはもったいないし、
頭にも入ってきません。
頭で情景を想像しつつ聞かないと、
面白味は伝わってこないし、高座の噺家の
仕草が見てとれるなら、それもじっくり見たいものだし
それを楽しむ余裕があってこその話芸なのだと今更ながら知りました。
それにしても志ん朝が存命であった折には、
自分も東京にいたはずだったのに、
一度も寄席に行くことがなかったのは
一生の不覚でありました。
「本日も晴天なり」という昔やった
朝ドラ再放送をBSでやっているのですが、
その舞台となるのが日本橋人形町。
その人形町の染物屋職人を
演じるのが津川雅彦、小松政夫と言った
鬼籍に入られた名優たち。
彼らの話し言葉が
「江戸っ子の職人」風なのは粋なのだけれど、
志ん朝落語に出てくる職人の話し言葉と
そっくりだと気づきました。
たぶん、彼らもその役を演じるのに
「職人言葉」を勉強したのではないのかと思った次第。
人とのコミュニケーションというのは
話すだけでなく、聞く力あってこそのもの。
そして、聞きながら想像を
膨らませる楽しさというは、
どれだけ時を経ようが変わるものではありません。
マスクを外すとなったら
それでまた騒がしい世の中ですが、
コロナ禍で失われた「コミュニケーション」
文化こそ取り戻さなければならいもの。
一昔前、宇多田ヒカルが書いた詞で
「画面の中の文字で温かい気持ちになる」という
一節があったけれど、話す・聴くという関わりが
原点であることに変わりはない。
そうそう、落語マイブームのきっかけとなった動画はこれです。
https://www.youtube.com/watch?v=e4YlqyGDbp8
桂宮治が情熱大陸に出たものの
切り抜きらしいのだけれど、子どもたちを虜にし、
彼の噺で大爆笑する姿は、凄いなと感心させられました。
どうしてこの動画が
きっかけで志ん朝にハマるのかは不思議なところですが。