安いことはいいことか【瀬上一憲】

2021.07/13

水曜日です。

おはようございます。

 

青森のせのうえかずのりこと

「あおのりです。」

最近、「安いニッポン」という書籍を勧められました。

 

内容にびっくり、です。

500円ランチをありがたがって食べていられないし、

軽自動車の値段が上がっていると

嘆いてばかりもいられないのです。

 

昨今、自動車の値段が高くなっている、

というのはよく言われること。

特に、軽自動車は、例えば10年前の

所得水準比較でいうと割高になっているな、

という感覚でした。

 

 

でも、それは物の値段の上がり幅に

賃金上昇がついてきていないからだったわけで。

 

 

そして、今はコロナ禍にあるため、

海外からの観光客相手の商売は、

上がったりなわけで、それを頼みとしてきた業界は、

見る影もない状態です。

 

それでも、観光客が大挙来日するのは、

日本の治安が良かったり、ユニークだったり、

物珍しさがあってのことだとばかり思っていました。

 

実際、政府も「観光立国」なんて分けのわからない

コピーを掲げていましたし、てっきり「クールジャパン」が

受けているもの、だとばかり思っていました。

 

ところが、違っていたんですね。

 

日本はいつの間にか海外に比べて

相対的に物価の安い国で、「お金の使い勝手がいい国」だから、

海外から大勢の客が来ていたという事実に愕然とした私。

 

 

それは、ほんの20年ぐらい前に、

日本人が東南アジア諸国に旅行に出かけて

「使い手のある円」を満喫していたのと同じ状態。

 

 

そりゃあ、東南アジア諸国のお金持ちたちは、

リピート来日して謳歌もしたくなろうというもの。

 

 

デフレ脱却は至上命題の如く言われ続けていましたが、

結局有効策を打ち出すことができず、気がついたら、

茹で上がった金魚の如く・・・・。

 

気付かないでいるのは、日本人だけ。

安いことが一番、とばかりに本来あるべきはずの

価値は据え置かれ、安かろう、悪かろうの世界に

甘んじる結果と成り果ててしまっているという。

 

賃金が安く据え置かれている、

というのは、10年前のリーマン時代にも痛感したことでした。

 

時代の趨勢と諦観していた

部分もありましたが、それは国内事情でしかなかった。

年功序列の賃金制度であるべきとは思いませんが、

然るべき労働対価が得られる世の中でないと消費にお金が回りません。

 

買いたくても買えない世の中はやはり何処かいびつだし、

経済活動の活発化に結びつきません。

 

で、それはつまるところ、

我々の業界のようなサービス業にモロに影響してきます。

 

使われるべきところにお金が

回ってこないという悪循環となります。

 

だから、我々はかくあるべき、

ということを打ち出せないのは申し訳ないことなのだけれど、

今の日本経済の何処に問題があるのかを考える上で、

良い嚆矢となったので、つい書きたくなりました。

 

因みに、書籍は、

「安いニッポン(日本経済新聞新書 中藤 玲)」です。

 

お手軽に中身を知りたい方は一寸盛っていますけれど、

「中田敦彦のyoutube大学」でも、ご覧になれますので、参考までに。